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世田谷という地が多様性ある魅力的な
「働くひと」たちの場であること、

地元に素敵な店舗や企業がいることを発信していきます。

株式会社栄和サービス(えいわサービス) 常務取締役 冨澤謙二さん
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桜上水

ビルの管理と建物のメンテナンス、そしてコロナ対策でも地域に貢献!

株式会社栄和サービス(えいわサービス) 常務取締役 冨澤謙二さん

適切な管理で建物の寿命を延ばす

栄和サービスは、平成7(1995)年11月に創業した、オフィスビルの管理やマンションや戸建てなどのリフォーム、ハウスクリーニングまで手掛ける企業だ。さらに、世田谷区内のゴミ収集も行う栄和清運など、数社のグループ会社を抱えている。
 ビルの管理は、その建物で生活や仕事をする人々の安全のために欠かせない。定期的なメンテナンスを行ってビルを美しく保つことで、資産価値を守り、地域の景観にもプラスになる。栄和サービスを率いる冨澤謙二さんに、その意義を聞いた。
「建物は風雨に晒され、年月とともに汚れていきます。月1回の定期清掃や、受水槽の洗浄などは欠かせません。外壁を点検せずに放置すると、強風でタイルが落下して通行人に当たるリスクもあります。消防点検、建築設備点検、高圧点検なども定期的に必要です。当社は1棟のビルのあらゆる悩みを解決し、オーナーの不安を軽減するように心掛けています」
 同社が管理しているビルは約3000棟。そのうち、世田谷区に所在するものは3分の1を占める。冨澤さんは、ビルオーナーの悩みを直に聞き取る過程で、考えさせられることも多いそうだ。例えば、多くのビルオーナーは、新築で立派なビルを建てる夢を抱く。しかし、そういった華美な建物ほど、メンテナンスが大変になるそうだ。
「当社は長年の実績があり、不具合が発生しやすい造りのビルがわかります。そこで、設計段階からメンテナンスのことを考慮し、一緒に話し合いをすることもありますよ」
 また、鉄筋コンクリート造のビルは、取り壊しから建材の処分まで手間がかかる。大切に使い続けることで、環境負荷を減らすメリットも生まれるのだ。

メンテナンスの経験を活かした新事業

 昨年5月からスタートした栄和サービスの新しい事業が、新型コロナウイルスの除菌・抗菌の仕事だ。官公庁から民間企業まで、昨年だけでなんと全国で約4000件もの実績を重ねている。新型コロナウイルスの陽性者やクラスターが発生した現場から連絡を受けると、スタッフが現地に直行し、翌日までに除菌の対応を行う。丁寧な対応とスピード感で、評判も上々だそう。

除菌作業で様々な現場へ直行する

 ウイルスや細菌を除去する仕事は、コロナ禍の前から研究していたと冨澤さんが話す。
「コロナ禍がなければ、東京オリンピック・パラリンピックのすべての競技が有観客で行われ、世界中から外国人観光客が訪れていたはずです。それだけ人の往来が激しくなると、衛生面で不安が生まれるかもしれないと考えていました。当社はビルのメンテナンスを手掛けていますし、そのノウハウが生かせると思い、研究を行っていたんです」
 昨年、新型コロナウイルスの感染が急拡大し、陽性者が確認された施設は相次いで対応に追われた。現場に足を運び、冨澤さんは驚きを隠せなかったという。それは、他社が提示する除菌料金に、法外なものが少なくなかったことだ。例えば、ビル1棟を除菌するだけで数百万円~数千万円。わずか1平方メートルで4,000円という例もあったという。企業の支払い能力を遥かに超える金額だ。
 冨澤さんは、安価でしかも効果が高い除菌方法で人々の役に立ちたいと考えた。こうして、早くも事業を立ち上げることにしたのだ。
「昨年5月の段階で、趣旨に賛同してくれた数社と一緒に、『社団法人・全国施設店舗衛生管理協会』を結成しました。それ以後、首都高速道路や検疫所、軽傷者を受け入れたホテルの除菌などを行っています。企業からは、専門業者が入ることで、社員からもお客さんからも安心感が得られるメリットが評価されています」

新型コロナウイルスの除菌・抗菌の仕事は現在重要な業務だ

社員個人の意思や考えを尊重する

 ちなみに、除菌作業の登録スタッフは100人前後だが、冨澤さんは「当社からはいまだに1人も陽性者を出していませんよ」と自負する。それはひとえに、普段からの手洗い、うがい、マスクなどの基本的な感染対策を徹底しているところが大きいが、他にも秘密があるそうだ。事務所の中に、新型コロナウイルスに対して効果が見込まれる水性二酸化塩素を噴射する、ドライミスト噴霧器を設置しているためだという。これは、あらゆるウイルスやカビに効果があり、飛沫感染や空気感染の予防になるという。こうしたきめ細かな対策が、顧客から社員まで、あらゆる人々の安全を守っているのだ。

除菌作業では一人も陽性者を出していない

 徹底した感染症対策の一方で、働き方の自由度が高いのが栄和サービスの特徴である。「僕は社員に対して、命令をしません。個人のやり方を尊重しています。それは、社員1人ひとりを経営者と考え、任せているためなのです。子育ての休暇も自由に取得できますし、同業他社と比べても福利厚生はしっかりしていると思いますよ」 冨澤さんは数年間、公益社団法人・北沢法人会の理事を務めた。その際に力を入れたのが、北澤八幡神社の例大祭への出店だ。冨澤さんは、子どもたちの笑顔が見られるのが一番の喜びだったと話す。「当社では、所属する団体の仕事をしっかり行うこと、そして地域貢献、異業種交流。この3つを大切にしています。こうした地域活動を熱心に取り組めば、新しい人間関係や出会いが生まれ、事業につながることが多いのです。企業にメリットは多いんですよ」

企業と社員が一緒に幸せになれる働き方

 この先、社員が仕事に望むものも変化しつつある。「自分らしく働きたい」と願う社員が増えているのだ。冨澤さんは、企業と社員が一緒に幸せになれる事業を構想しており、こう話す。
「そのひとつが、ファミリーレストランのセッティング業務です。ホールスタッフをしたくて応募した社員に、閉店後の清掃までやらせているお店はたくさんあります。そこで、翌朝までに行う裏方の準備を、当社がすべて代行するのです。人件費や労働時間を削減できるし、社員も専門性に特化でき、ホールスタッフのスキルを高めることができるはずです」
 働く方の幸せを第一に考え、環境を整えること。これこそが、栄和サービスが提案するこれからの働き方改革なのだ。

笑顔で質問に答えてくれた冨澤さん

DATA
株式会社栄和サービス(えいわサービス)

所在地:世田谷区桜上水 2-6-9

主な事業:清掃設備管理業・内装工事業

連絡先:03-5305-7027

推薦者
世田谷工業振興協会青年部会 橘 康雄